G-SYNCやFreeSyncって何?【後編】
こんにちは!スタッフの川田です。
今回は、ゲーミング液晶ディスプレイで頻繁に目にするG-SYNCやFreeSyncについて、詳しくお話したいと思います。
基礎編となる【前編】を先に読んでから、【後編】を読んでみてください。
Adaptive Syncって何?
VESA(Video Electronics Standards Association)が策定した規格で、元はAMD社が開発した技術です。
日本語読みだとベサ、日本語にすると映像技術標準化団体ですかね。
液晶ディスプレイ側にチップを搭載しなくても映像同期ができるという技術で、オープンソースの技術の為、どこのメーカーでも使用が比較的容易に搭載することができるのが特徴です。
FreeSyncって何?
AMD社が開発した映像同期技術です。
元々はAdaptive Syncの技術のことを指しており、AMD社が認定した液晶ディスプレイ製品のみFreeSync対応としていたのですが、近年はさらに細かくFreeSync、FresSync Premium、FreeSync Premium Proの3段階に分かれております。
細かい違いは以下の表をご覧ください。
※LFC=「Low Framerate Compensation」の略で、フレームレートが極端に遅くなった際にも映像同期をしてカクつきを抑える機能
欠点として、FreeSync対応グラフィックボードのみ対応となる為、AMD社のFreeSync対応グラフィックボードしか使えないというデメリットがあります。
Adaptive SyncとFreeSyncは何が違うの?
若干ややこしさを生んでいるのが、「元の技術がAdaptive SyncならFreeSyncと何が違うの?」という部分でして、その通りややこしさしか生んでおりません(笑)
さらに、以前はFreeSyncとFreeSync2があり、2020~2021年あたりから呼び名が変わり、ゲーミング業界に若干の混乱が発生したことを覚えております。
ではなぜ2つの違いがあるのか?結論から申し上げますと、「AMD社に申請を出して受理された製品はFreeSyncを名乗れる、受理されていない製品をFreeSyncを名乗れない」ということなんです。
そのため、液晶ディスプレイメーカーが製品の途中から「FreeSync Premium対応になりました!」と発表するのは、ここに理由があるからなんですね。
受理されるのを待つ期間がもったいないので先に発売しちゃって、後からFreeSync対応と言える様にすればいいという考え方なのです。
ユーザーからすればFreeSyncの受理があろうかなかろうが同じことですので、「Adaptivesync=Freesyncのことで、リフレッシュレートによって3段階あるのか」とざっくりでも理解してもらえればOKです。
しかし、FreeSync対応グラフィックボードしか性能を発揮できず、また規格が途中で増えたこともあり、結果的にややこしさが残ったままでした。
また、NVIDIAユーザーは対象外で置いてけぼりになってしまい、結果的にAMD社もNVIDIA社も拡大には繋げられらず、一部ユーザーのみの特権という状況が続きました。
G-SYNC Compatibleって何?
AMD社もNVIDIA社もこの同期技術を広めていきたかった様なのですが、少し停滞している時期があったように記憶しております。
その理由は、主に以下の要因があったように思いますので、まとめてみました。
・グラフィックボードのシェアはNVIDIA社のほうが高かった
・G-SYNC対応液晶ディスプレイは高価な為、ハードルが高かった
・AMD社のFreeSyncはどこの液晶ディスプレイメーカーでも採用できたが、当時はAMD社のグラフィックボードのシェアがあまり高くなかった為、FreeSyncを利用できるユーザーが多くなかった
という、ユーザーには届きにくい状況が続いており、この同期技術の拡大が思ったように広がらない状況が続きました。
そこで、2019年にNVIDIA社が「自社グラフィックボードのGeForceでもFreeSyncに対応していく」という画期的な発表をし、当時は大きな話題となりましたね。
この技術がG-SYNC Compatibleです。
その後、NVIDIA側のGeForceがG-SYNC/FreeSync両方に対応できる様になり、NVIDIAユーザーが比較的お買い得なゲーミング液晶ディスプレイに採用されているFreeSyncも利用できるようになり、利用者の拡大に成功しています。
尚、G-SYNC Compatibleの表記はNVIDIA社の認証を得たディスプレイ製品しか名乗ることはできません。
尚、ここから先の話はかなり裏側の話にもなるのですが、G-SYNC Compatible表記がない液晶ディスプレイ製品にも関わらず、G-SYNC Compatible機能が使用できるとグラフィックボードが判断して結果的に使えるケースもよくあります。
その場合の理由として、上記のようなG-SYNC Compatible認証の試験の真っ最中の中、先に発売して後から認証をもらうパターンがあるのと、液晶ディスプレイメーカーの判断でG-SYNC Compatibleの認証は敢えて取得せずにAdaptivesyncやFreeSyncの機能だけを搭載して発売するパターン、の2種類があります。
いずれも生産時期などで違いがあるものの、グラフィックボードが「この液晶ディスプレイはG-SYNC Compatible機能が使えます!」と認識をしてくれたのあれば、表記が変わっても性能そのものには違いがありませんので、結果オーライということになりますね。
その為、「後から買ったらG-SYNC Compatibleがついていたのに!」「後から買ったらFreeSyncが使えたのに!」と思わなくても大丈夫ですので、ご安心ください。
入力端子はなぜDisplayPort中心なの?
いずれもDisplayPort端子を前提としているのですが、実はしっかりとした理由があります。
元々HDMI端子は家庭用映像機器を接続するために生まれた入力端子で、主にテレビに接続することを考えて設計されております。
対して、DisplayPortはPCと液晶ディスプレイを接続するために生まれた入力端子という性質がある為、グラフィックボードもDisplayPortを中心に考えられております。
その為、SwitchやPlayStationがHDMI端子を採用し続けているのもここに理由があります。
ゲーミングPCで高速リフレッシュレートを使用したり、同期技術を使いたい場合は、DisplayPort端子をご使用になることをオススメしますが、HDMI端子でも対応しているケースもあります。
最後に
以上、非常にややこしい部類に入る〇〇syncのお話でした。
2部に分かれての詳しい説明でしたが、いかがでしたしょうか?
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