G-SYNCやFreeSyncって何?【前編】
こんにちは!スタッフの川田です。
今回は、ゲーミング液晶ディスプレイで頻繁に目にするG-SYNCやFreeSyncについて、詳しくお話したいと思います。
かなり長くなってしまったので、【前編】と【後編】に分けました。
まずは基礎編となる【前編】を読んでから、【後編】を読んでみてください。
そもそも〇〇syncって何?
液晶ディスプレイには、垂直同期と水平同期の2つがあるのですが、垂直同期だけに気をつけておけばOKです。
・水平同期信号 : 画面の横1ラインの切り替えタイミングを決める信号
・垂直同期信号 : 1画面の切り替えタイミングを決める信号
グラフィックボードが映像を作成して液晶ディスプレイに映像信号を送り、液晶ディスプレイが受け取った映像信号を映像化したものをユーザーが見れる様になるのですが、その際にPC側と液晶ディスプレイ側で信号がピッタリ合わないと映像にズレが出てきてしまい、カクカクした映像になったり、映像が途中で切れて表示されたりするんですね。
そのズレを抑えて、映像をピッタリと合わせる必要があるという訳なのですが、その方法にいくつか方法があって、その代表的なものが「V―SYNC」「G-SYNC」「FreeSync」なんです。
映像がズレると、どんなことが起きるの?
PC側の映像信号が液晶ディスプレイに届いて映像化される際、映像信号のタイミングにズレが生じると、映る映像にズレが生じます。
その代表的なものが「スタッタリング」と「テアリング(ティアリングとも呼ぶ)」です。
スタッタリングとは
映像のカクつき現象。グラフィックボードの映像処理が間に合わない場合、次の映像更新のタイミングに合わせて待つ為、結果的に画面がカクつくように見える。
テアリング(ティアリング)とは…
1つの映像を表示している最中に次の映像が映り込むことにより、映像が上下でズレて映ってしまう現象。
例えば、PCのフレームレート設定が144fpsであった場合、液晶ディスプレイ側も144Hzに設定すればよいのですが、グラフィックボードの性能が映像処理の不可に耐えられない場合にスタッタリングが起きてしまいます。
また、PCのフレームレートと液晶ディスプレイのリフレッシュレートを同じ数値にしていたとしても、微妙にズレることがあったりします。
そこで、PC側と液晶ディスプレイが「よーいドン!」で同じタイミングで映像をスタートし、二人三脚のような状態で映像をまったく同じタイミングで合わせられる様、常に同期(Sync)をして映像を描写する必要が出てきます。
これが〇〇Syncの本質です。
V―SYNCって何?
この10年の間でゲーミング液晶ディスプレイは驚くほど進化しており、10年前を知らないユーザーには想像もしづらい程の状況に変化しておりますので、まずは10年ほど前に歴史をさかのぼってご説明したいと思います。
元々、液晶ディスプレイでは30Hz(fps)と60Hz(fps)の2種類しか対応していませんでした。
言い換えると30コマ/秒と60コマ/秒の動画しかなかったということです。
その為、グラフィックボードが45コマ/秒や50コマ/秒まで出せる能力があっても60コマ/秒には足りないため、実質は30コマ/秒に落とした映像を映すしかなかったんですよね。
そこで、この2つの数値の中間のコマ数にフレキシブルに対応した動画を再生できるようにしたのがV-SYNCです。
この技術をONにすると、グラフィックボードが出せるフレームレートを出せる様になり、45fpsや50fpsでも合わせて表示することができるようになりました。
VRRって何?
少し似た機能としてVRR(Variable Refresh Rate)、日本語読みでは可変リフレッシュレートという技術があります。
V-SYNCに似ていますが、VRRは液晶ディスプレイのリフレッシュレートをPC側のフレームレートに合わせて「対応可能な周波数であればどんな周波数でもリアルタイムで同期できる」という点に違いがあります。
仮に165Hzまで表示できるゲーミング液晶ディスプレイの場合、「PC側の出力が30~165Hz(コマ数)まで変わっても即座に対応できますよ」という事になります。
この範囲をリフレッシュレート範囲(VRR範囲)と呼んでいますが、私が液晶ディスプレイ関係の仕事を約10年してきた中で、今まで一度も見たり聞いたりしたことがありませんので、この言葉は覚えなくても大丈夫そうです。
尚、HDMIの場合はversion2.1以上でしか使えませんので、今のところ4Kゲーミング液晶ディスプレイなどに限られてくる機能ですね。この後説明に出てくるG-SYNCやFreeSyncはVRRの1種となります。
G-SYNCって何?
G-SYNCとは、NVIDIA社が開発した映像同期技術です。
G-SYNC対応のチップを液晶ディスプレイ内部に搭載し、G-SYNC対応グラフィックボードと液晶ディスプレイの映像信号を同期させて、ズレを防ぐ技術です。
グラフィックボードとディスプレイ側のチップ両方で映像を同期させる為、映像により変化するフレートムートでも液晶ディスプレイ側がうまくタイミングを合わせて映像処理をできる為、ズレを防ぐことができます。
その反面、液晶ディスプレイ側にG-SYNC対応チップの搭載を必要とする為、その分液晶ディスプレイ側が高価格になってしまうデメリットがあります。
さらに、G-SYNC対応グラフィックボードしか本機能を出せない為、ユーザーが限定されてしまうのも拡大を妨げる要因となりました。
しかし、映像同期技術はもっとも信用できる方法の為、こだわり派の方からは現在もG-SYNC対応液晶ディスプレイは高い評価を受けています。
最後に
以上、非常にややこしい部類に入る〇〇syncの基礎編となる【前編】した。
【後編】